maison des perles トップページ

BLOG

二十億光年の孤独とエトワール

エトワール : ¥25,000 + tax


一時間ほど前に死んだ老いた善人が 特派の二輪車(チャリオット)に乗って 亜成層圏のあたりを上昇している

一時間ほど後に生まれる子供が こうのとりにまたがって 亜成層圏のあたりを降下している
オリムポスでは 
ミス・クロソー ミス・ラキシス ミス・アトロポスの三人が コオヒイを飲みながら テレヴィジョンでそれをみている
トウキョウでは
ひとりの詩人が お祈りをしながら 星空のスクリーンに それをみた

上の文は、1952年に刊行された谷川俊太郎処女作『二十億光年の孤独』の中の「夜」という詩だ。
戦後から7年、当時の東京から見える空はどのようなものだったのだろうかと、この詩を読みながら私は思う。現在は東京の空を眺めても、都会の環境から、視覚(明順応と暗順応)の都合上、星をなかなか見ることが出来ない。街灯一つない田舎のそれに比べると雲泥の差がある。つまり、たとえ遠くに輝く星(光)がいかに本質的に輝くものであっても、近くにある光は魅力的で眩しく、遠くにある光は暗く感じるのだ。

『エトワール』ブローチは2010年に登場し、Môko Kobayashiの中でも定番のアクセサリーだ。五つの星から、一つ星がゆらりと降り注ぐそれは、冬のコートやスカーフの上からも一際存在感が出る。今は、ファッションにせよ、日用品にせよ、人の手が加わらずに作られ安価な類似品が購入できる時代だ。人それぞれの自由だが、そんな時代だからこそ、一点一点、人の経験や手の感覚で紡がれた永く愛してゆけるものを私は選択してゆきたいと、上の詩を読みながら強く思ったのだ。(向田)



maison des perles WEBSHOP

Môko Kobayashi BLOG/Instagram

maison des perles Instagram/Facebook 

RECENT POST

CATEGORY

ARCHIVES

RSS Feed