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眼差しの向こう側

Boy & Girl : ¥46,000 + tax

年が明け、少し遅めの(初)詣に明治神宮へと足を運んだ。人混みを避けようと午後の陽が傾きそうな時間帯を選んだが、大鳥居を抜けると沢山の参拝客や外国人観光客。人混みがあまり得意ではない私は足早に参道を歩く。御社殿までの道程、参道沿いの掲示物を澄んだ眼差しで眺める一人の少女になぜか一瞬、眼を奪われた。
途中幾つか鳥居を拔け、寄り道をしてお詣りの列に並んだ。あと一列で自分の番になる頃、斜め前に参道沿いで見た少女が手を合わせていている事に気が付いた。眼を閉じ、手を合わせお祈りしている所作の美しさと祈りの時間の長さに驚き、再び眼を奪われた。
その彼女の胸元には、年齢に似合わない一粒の真珠のネックレスが陽光に照らされ輝いていた。

日本各地で海産と淡水産を合わせると真珠の産地はいくつかあるが、その真珠養殖御三家のうちの一県である愛媛県。黒潮が流れ込み温暖で良好な漁場がある宇和海はアコヤ真珠の養殖には最適な場所なのだ。あまり認知されてはいないが、宇和海ではある時期に杉の葉を海水に浸しておくと数億の稚貝の採取が出来、かつては他県に比べ生産量においても群を抜いていたのだ。
アコヤ真珠養殖に恵まれた環境である愛媛県は宇和島市。一般的に婚約時に贈るものとして想像するのは、ダイヤモンドの指輪である。しかし、宇和島では結納の時に真珠の装身具を贈る風習がある。そうして贈られたものは親から子へと代々受け継がれ何代にも渡って輝きを増すのである。

1926年に描かれたシャネルのリトル・ブラック・ドレスの画は、シンプルな直線美の漆黒なドレスの胸元に一連の真珠が組み合わされている。真珠を愛したデザイナーとしてシャネルは有名ではあるが、当時から映画界や多くの著名人に真珠は愛されてきた。ダイヤモンドのような豪華で派手な輝きはないが、凛と芯のある柔らかな輝きが真珠にはあるのだ。そんな宇和島産のアコヤ真珠を用いて製作された「Boy & Girl」。Môko Kobayashiのブローチ大のBoyとGirlとアコヤ真珠。現在生産自体が休止しているため現在アトリエにある数量のみの販売になる。
自身へのご褒美はもちろんであるが、男性から女性へ、母から娘へなど、誰かの手から手へと贈られることを想像した時、私は神社で見た少女を思い出すかもしれない。(向田)


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