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頼りない記憶

ミニチュアダックスフント coming soon

前世などの話を除けば、一般的に言われる記憶は経験や体験から成る。
「初めて行った国は?」と問われれば、website上の秘密の質問に答える様にスラリと答えられる。しかし、「今までにもらって一番嬉しかったプレゼントは?」と問われた途端に、私は言葉に詰まった。今までの人生において沢山の贈り物をもらっているはずだが、嬉しいという感情を表す形容詞が余りに曖昧で、選択肢が多いからだろう。そして、その感情は油彩の絵の具を重ねる様に、記憶の深層部の色を呼び起こすことが難しくなる。

しかしながら、その様に何かを問われた時に瞬時に答えられないことは決して悪いことではないと思う。
例えば「本物とはなんですか?」という質問を自分に投げかけてみる。瞬時に「ニセモノで無いものです。」と答えられるかもしれないが、そもそも本物とニセモノの境目は、どこにあるのだろうかと回想してしまう。
欧州ヴィンテージアクセサリーが好きな友人が、あるお店で、自身が付けているブレスレットと同じデザインのモノを見つけた。店員さんが彼女が身に付けているブレスレットを見て「ありがとうございます!」と話しかける。そこにあったブレスレットは国内の現代作家のモノで、欧州ヴィンテージのそれとは異なるのだ。

そのデザインが作家自身から湧いて出てきたものなのか、所謂パクったモノなのかは定かでは無い。もしかすると、その作家のブレスレットも、今までの人生における幼少期やあらゆる体験の記憶の深層部にあったものが形になって、偶然にも全く同じになったのかもしれない。しかし、彼女がしていたヴィンテージのブレスレットを見たことがない人からすると、現代で活躍している作家さんが創造したものだと疑うこともなく思うだろう。真相はどちらでも良い。コピーが溢れる今の時代、選択肢は多い方が良いのだろうし、何よりそれを選択するのも身に着ける人次第だからだ。だからこそ、私は、アナグマを見つけ出すダックスフントの様に、その対象を見極めるための嗅覚を養いたいと思う。(向田)



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